二葉会とは
二葉会は、園及び緑地を専攻した卒業生並びに修了者、また教員などによって組織される会で、千葉大学園芸学部とその前身校において造園及び緑地・環境学を専攻した卒業生並びに修了者、また教員などによって組織される会です。
代々、造園学科、環境緑地学科、緑地・環境学科、緑地環境学科・・と名前を変えてきましたが、志は同じです。
こんな時代だからこそ、集い、知恵を
集結させましょう。
ご挨拶
森歓之助先生と新渡戸稲造記念庭園
二葉会会長を仰せつかってほぼ1年になりました。二葉会は、森歓之助先生を囲む会として始まったとされ、
東京都の方々と、土台として活動を支えられた前田宗正氏と鍵山善昭氏をはじめとする方々のご尽力で
今日に至っています。その前田さんが2011年8月9日に、そして今年4月20日鍵山さんが逝去されました。
両先輩の40年以上に及ぶ、清廉で温かいご尽力は筆舌を超えるもので、ここに深甚の感謝と敬意を表します。
森歓之助先生は、千葉高等園芸学校3期生で、大正12年(1923)から高等園芸で教鞭をとられる一方、徳島高等工業学校(1924)、神戸高等商船学校(1935)、香川農大(1948)、青山学院大学シェークスピアガーデン(1949)、順天堂大(1950)、日本女子大(1951)、山梨大(1952)、恵泉学園短大(1954)、山形大(1957)等の多くの校庭を設計されるとともに、1958年にはインドで首相官邸や農業研究所の日本庭園、ニューデリーのLodi Park、デリーの植物園内日本庭園、Roshanara庭園の日本庭園を設計され、また南インドのNagrjunakonda造園計画も担当された。
森先生は昭和6年(1931)12月〜8年11月まで2年間文部省からアメリカ、カナダに派遣され、多くの大学で講演されているそして、1959-60年にはバンクーバーのブリティッシュコロンビア大学(UBC)の新渡戸稲造記念庭園の設計を外務省から依頼されて設計・施工し、地元の日系造園家にその育成管理を指導して託され、今日のバンクーバー日系造園家協会の礎をつくられた。 森先生の教育・研究姿勢は、膨大で緻密な講義ノートで伺うことができる。また、田村剛さんとの共著『学校造園』でも知ることができる。そして、設計姿勢は、前述した新渡戸稲造庭園で伺うことができる。
現状は、残念ながら1980年に枡野俊明氏によって改変されているが、往時の多くの写真によって森先生の設計姿勢を伺うことができる。
新渡戸庭園を管理するUBC植物園のパトリック園長やバンクーバー日系造園家協会の方々は、森先生が設計・施工された当初の構成に戻すため様々な
活動をされており、もとより筆者も旧に復する必要性を強く感じていたことから、枡野氏による改変の詳細を現場と写真で確認しながら森先生の設計意図を読み解いてきた。
下記は、2013年9月26日、当時アメリカ・ラトガース大学准教授であった五島聖子氏(1993年博士修了、現長崎大学大学院教授)と一緒に、前述したパトリック園長や日系造園家協会の方々に 「UBC新渡戸稲造記念庭園の特徴と復元」と題して説明した。その後、パトリック園長からの依頼で、
2014年2月22日付けで提出したのが下記のメモである。
新渡戸庭園の特徴
- 国際連盟事務局次長として世界平和、とりわけ日本と北米の友好を強く望んで戦争を避けるべく尽力された新渡戸稲造の功績を顕彰するために設計された庭園である。
- 具体的には、記念庭園設計以前に、新渡戸稲造を顕彰するために寄贈された春日灯籠を、庭園の主要な構成要素である滝口近くに配していることから、その灯籠を庭園の起点とする考えがあったものと推察される。そして、その滝から流れ出た水が造る大きな池を太平洋と見立て、そこに架かる橋を日本と北米を隔てる太平洋の架け橋になろうとした新渡戸稲造の功績を象徴するデザインとした。このことは、橋の両岸に日本とカナダのカエデを植えていたことでも頷ける。
- 滝口からの流れは石護岸の上手池に至り、さらに下手は花菖蒲を植栽した低平な池を配することで、僅かな面積の庭園に河川の上流から下流の景観を造りだしている。これは、急峻な山岳から急流を経て海に至る景観が僅かな距離を隔てて見られる日本の風土を背景に成立した縮景庭園の構成であり、日本の風土と日本庭園の特徴を具体的に表したものと理解される。
- 上記の縮景庭園は、氷河に浸食されたバンクーバーとその周辺地域に一般的な丸みを帯びた石を使い、緩やかな芝生法面と伸びやかな汀線を基調とする構成で、広大な景観が展開するカナダにおいて箱庭のような細かなデザインを避ける工夫が見られる。
- 茶室は、日本の特徴的庭園建築の一つであり、また人と人がさまざまな立場の違いを超えて直心の交わりを結ぶ空間でもある。そのような茶室を新渡戸庭園内に配した森歓之助の意図は、日本の庭園建築の特徴を具体的に示すと同時に、その空間においてカナダ人と日本人、さらには多くの人々の交流を促そうとしたものと推察される。
- 茶室前の枯山水は、上記の縮景庭園が具象的であるのに対して象徴的であり、石や砂、さらには自然に対して多様なイメージを展開しながら自己を見つめる日本人の精神性を示す場でもある。
- 以上のように、新渡戸稲造記念庭園は世界の人々の相互理解と平和に尽力した新渡戸稲造の功績を顕彰するとともに、庭園での逍遙や茶事をとおして日本庭園の特徴と日本人の庭園観や自然観への理解を促しながら、日本とカナダ、さらには世界の人々との交流を図る場を設えたものと理解できる。
現在、杉山龍氏(2001年修士修了)が学芸員として新渡戸庭園管理を担当し、またUBC植物園と園芸学研究科は2014年5月22日に学術交流協定を締結しており、その協定の下で田中信氏(2016年卒)がUBCに半年滞在し、新渡戸庭園の実測と多くの写真をもとに卒論「新渡戸紀念庭園における庭園構成とその特徴の変遷」をまとめている。協定締結で来日したパトリック園長は、筆者とともにカナダ大使館を訪ね新渡戸庭園の造営経緯と復元を検討していることを説明し、支援を依頼した。 近年、バンクーバーではNitobe Memorial Garden History Committeeも設立され、日本・カナダ文化財として新渡戸庭園の意義を再認識する動きもある。森先生を囲む会として始まったとされる二葉会として、新渡戸庭園は二葉会の国際的展開の起点とも位置付けられるものであり、往時の構成への復元が強く求められる。
2014年2月22日 藤井英二郎二葉会会則
(昭和43年制定 昭和47年 一部改正 平成18年12月2日改正 平成28年12月3日一部改正)
名称
第1条 この会を「二葉会」という。事務所
第2条 この会の事務局を、千葉大学園芸学部緑地環境学科内におく。組 織
第3条 この会は次の会員と特別会員をもって組織する1.千葉大学園芸学部とその前身校において造 園及び緑地・環境学を専攻した卒業生並び に修了者
2.千葉大学園芸学部とその前身校の卒業生のうち造園及び緑地・環境関係の業務にたずさわる者で幹事会の承認を得た者。
3.千葉大学園芸学部の造園及び緑地・環境学 系学科の現・旧常勤教官を特別会員とする。
4.その他、本会の主旨に賛同し、総会の承認を得た者。
目 的
第4条 この会は、会員相互の交流と研さんを図るとともに、母校と造園及び緑地・環境界発展への寄与を通じて社会へ貢献することを目的とする。事 業
第5条 この会は、前条の目的を達成するため、次の事業を行う。- 1.総会
- 2. 親睦会
- 3.社会貢献事業
- 4.母校との協働事業
- 5.会報発行
- 6.その他の事業
役 員
第6条 この会に、次の役員をおく。1.会 長 1名
2.幹 事 長 1名
3.副幹事長 2名以内
4.幹 事 若干名
5.会計監事 2名
6.事務局長 1名
②この会に相談役若干名をおくことが出来る。
③千葉大学園芸学部造園系学科長を常任顧問とする。
(役員等の選出及び役目)
第7条 会長は総会の総意により選任し、会務を総括する。
② 幹事長と副幹事長は幹事の推薦により選任する。
③ 幹事長は、会務を執行処理し、会長事故ある時は代理する。
④ 副幹事長は、幹事長を補佐し、会務を執行処理する。
⑤ 幹事は総会の総意により選任し、この会の事業を執行する。
⑥ 会計監事は会員の推薦により会長が選任し、会の会計を監査する。
⑦ 事務局長は幹事長が指名し、幹事会の意を体して本会の事務をつかさどる。
⑧ 相談役は会員の中から幹事会の協議を経て幹事長が委嘱する。
役員の任期
第8条 役員の任期は総会より2年とする。ただし再任を妨げない。運 営
第9条 この会の運営を計るため、会費等を徴収することが出来る。会 議
第10条 総会は年1回とし会長が召集する。幹事会は 幹事長が召集し、会務事項について審議する。総会並びに幹事会の議事は出席会員及び幹事 の過半数の賛成により議決する。
会則変更
第11条 この会則を変更する場合は、総会の議決を得なければならない。附 則
この会則は、平成18年12月2日から実施する。この会の細則については幹事会に図り、幹事長が決定する