二葉会員の活躍を訪ねて 【第10回報告】
~多摩ニュータウンの計画・現在・未来は~
企画幹事会幹事長 平山 実(昭和57年卒)
平成30年10月28日(日)、大石武朗氏(造園昭和41年卒:元都市再生機構 現唐木樹木養生所所長)を講師に、多摩ニュータウンの堀之内駅から多摩センター駅の間の公園緑地を見学した。参加者は22名。多摩ニュータウン計画の背景、事業手法の検討を含め、多摩丘陵の地形と自然を活かした優れた
居住環境を整えた魅力ある大規模なまちづくりの取組みを、紅葉の始まりを迎えた清々しい陽気の中で伺った。多摩ニュータウンは面積3,000haという全国最大規模の開発計画である。昭和30年代、都市の急激な人口集中により、道路・下水道等の都市基盤整備を上回る速さで市街地が無秩序に郊外に拡大するスプロール減少が始まった。多摩丘陵一帯は、都心から25~35㎞に位置し、市街化が遅れ、谷戸部に集落が点在する地域であったが、京王線沿線では民間による雛壇上の宅地造成など、緑の保全は全く考慮されていなかった。
都心から50㎞圏内に大ロンドン計画にならったグリーベルト構想もあったが、宅地化の勢いから有名無実化しつつあった。そのため、多摩丘陵で都市計画の空白地帯となっていた地域を都市計画で担保しようとしたのが多摩ニュータウン構想の始まりであった。
公園緑地では独特なデザインが試みられ、東洋一のピラミッドをとの意気込みで整備された秋葉台公園、巨大な丘やゴイサギのモニュメントのある公園など当時の計画者の発想の豊かさに驚く。長池地区のせせらぎ計画は、上流の長池周辺を水源として保全し、下流側の築池では安定的な流量を確保するため、自然流下のオリフィス方式を採用し、集合住宅敷地内では雨水を貯留するほか、公園の地下には砕石を深く敷き込んだ地下ダムを整備するなど、
水源を確保に取り組んでいる。
みどりの保全・再生では、土が海生成土壌のため、表土の保全や大径木移植を立て曳きや重機移植機を使用して既存樹木の移植を行っている。
集合住宅の大量供給と相反するものであったが、昭和50年代に入ると、「自然地形案」と言われる開発も進められた。
長く多摩ニュータウンの計画に関わってこられた大石先輩や上野泰先輩など個性豊かな方々が公園緑地に新しい文化を築いてこられたと強く感銘した。
秋葉台公園のピラミッドにて